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富士山噴火で被害が予想される範囲

火山の噴火が影響するのは、ふもとの街だけだと思ってはいませんか?富士山が噴火した場合、その範囲はかなり広範囲に及ぶことが予想されます。もちろん、溶岩流や火砕流、火山灰など、起こる現象によって被害を受ける範囲は異なりますが、日本最大の火山である富士山が大規模噴火を行ったとすると、その被害は甚大なものになることは間違いありません。

政府などでは普段からハザードマップなどを作成し、注意を喚起するとともに準備を行うような訴えを行っています。富士山のふもとに位置する富士吉田市、御殿場市、富士市、足柄上地区、小田原市などでも、それぞれ詳細なハザードマップによって、危険地域や避難場所の周知を徹底するようにしています。
自分の住む地域にどのような被害が考えられるのかを普段からチェックしておくことが大切です。



富士山周辺部への被害

富士山防災マップより 富士山が噴火した場合に、まず被害が及ぶのはやはり周辺部の都市です。富士宮市、富士吉田市、御殿場市などは、富士山に最も近いため、大規模な被害が予想されます。

もちろん、そのすべての都市が被害を受けるというわけではありません。火山の噴火というと、頂上から噴煙が上がっているようなイメージを持つ人が多いかもしれませんが、実際には噴火口ができるのは山頂とは限りません。むしろ過去の噴火では山の斜面から噴火することが多く、どの斜面から噴火するによって被害地域が大きく異なります。溶岩も火砕流も山肌を下っていくので、火口のある斜面の下に位置する街では、早急な避難が必要です。逆に、逆の斜面に接する街には、溶岩流や火砕流が届くことはありませんので被害は比較的小さくなりますが、火山灰や噴石などはかなり飛来するため、その点は注意が必要です。

富士宮市、富士吉田市、御殿場市などは、火口の位置によっては都市部の大半が避難対象地区になります。猛スピードで迫る火砕流などから逃げるために、普段から避難先や家族との連絡方法などを確認しておいて、早急な避難を心がけましょう。また、足柄地区や裾野市なども噴火の状況によっては避難が必要になります。

ハザードマップによると、最も遠くまで被害が及ぶ可能性があるのは溶岩流です。溶岩流は比較的流れるスピードが遅いので、範囲は広くなりますが、逃げるのは難しくはありません。噴石が届く範囲もかなり広範囲で、これは噴火してから比較的すぐに届くようになります。噴石は小さくても家の屋根に穴をあけるほどの威力があって、当たると死亡することもある危険なものです。大きいものでは20cmを超えるような噴石が飛んでくることもあるので、ヘルメットなどの着用が大切です。また、遠くからは煙のように見える火砕流は、火山ガスに岩石や火山灰が混入したもので、非常に高温になり危険です。遠くまでは届きませんが、スピードがたいへん速いので、火口近くの人はとにかく急いで避難するようにしましょう。



火山灰の被害範囲

溶岩流や火砕流に比べて、火山灰の被害範囲は格段に広くなります。 日本には基本的に偏西風が吹いており、風は西から東に吹いているため、富士山の火山灰も風に乗って東に運ばれていきます。宝永噴火の記録でも、100km離れた江戸で5cm近く火山灰が積もったとされているので、実際には火山灰は数百キロ先まで届いていると考えてよいでしょう。

富士山防災マップより現在2cm以上火山灰が積もることが予想されているのは、富士山の中心から半径30km程度の圏内と、神奈川、東京のほぼ全域、千葉の半分ほどが含まれる地域です。
季節や風向きによって到達範囲や降灰量は異なる可能性もあります。

もちろん微量の火山灰はもっと広範囲に広がりますし、噴火の際に成層圏まで噴き上がった火山灰は、地球を巡って世界のあちこちで観測されることが考えられます。また、火山灰の量によっては上空の火山灰が太陽光を遮り、気温を下げることによって農作物に被害がでることも想定されます。

広範囲にわたる火山灰によって、首都圏での交通機関の麻痺や、電子機器のダウンなどが懸念されますが、富士山にほど近い地域では50cmを超える降灰が予想されます。いずれにしても、長期にわたる降灰は、富士山の噴火でも最も懸念される被害のひとつです。