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火山の噴火による被害

日本は火山大国と呼ばれるほど、日本全国にいくつもの火山があります。それらの火山はこれまでにも何度も噴火を繰り返しており、その都度報道や支援活動が行われてきましたが、それらは局地的な災害としての扱いであったことは否めません。日本人として助け合うということは当然だとしても、実際にその被害に影響を受けていたのは一部の人たちでした。

火山が近くにない人にとって、火山の噴火というのはなかなか身近に感じられない問題です。溶岩が流れて火山弾が飛んでくるようなイメージを漠然ともっているかもしれませんが、もちろん被害はそれだけではありません。火山は噴火の時期に入ると、数年間にわたり何度も噴火を繰り返すことも多く、被害が長期にわたることも多いのです。

特に、富士山の噴火となると、それではすまない可能性が大きくなります。富士山は日本で最も大きな火山であり、日本のほぼ中心に位置する火山でもあります。この富士山が300年ぶりの大噴火をしたとすると、その影響は日本中に及ぶ可能性が大きく、すべての人にとって他人ごとではなくなるのです。富士山の噴火が起こった時にどのような被害が予想されるのかは、日本中の人たちが共有しておくべき問題です。



溶岩流による被害

三宅島噴火で流出した溶岩流 消防防災博物館より 火山の噴火というと、誰もが思い浮かべるのが溶岩流です。真っ赤な光を放ちながら流れ落ちる溶岩は、すべてのものを焼きつくし飲み込んでしまいます。過去に富士山の大噴火で流れ出した大量の溶岩流は一面に広がり、1000年以上の時をかけて青木ヶ原の樹海を作り出しました。また、天然の氷穴や風穴など独特の景観を生み出すのも溶岩で、まさに自然の驚異を感じさせます。(図27 三宅島噴火で流出した溶岩流 消防防災博物館より)

非常に高温で危険な溶岩流ですが、実は流れる速度があまり早くないので、大抵の場合逃げることは可能です。斜面の様子や溶岩の成分によってスピードは異なりますが、実際には逃げ遅れて溶岩に飲み込まれたという犠牲者はあまり出ていません。

また、火山の噴火が起こると必ずしも溶岩流が発生するわけではなくて、大規模な被害を起こした噴火でも水蒸気爆発が原因であり溶岩を流出しない場合も少なくありません。300年前に起こった富士山の宝永の噴火は大きな被害をもたらしましたが、この時の噴火は溶岩の流出を伴わない水蒸気爆発によるものでした。

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土石流による被害

有珠山噴火による泥流で埋まった住宅 内閣府HPより土石流は、土砂が水などとともに山の斜面を押し寄せてくるもので、集中豪雨が起こるとよく起こる現象です。スピードも速く、家などの建物も押し流したり押しつぶしたりするため、土石流が起こる可能性があるときには早めの避難が必要になります。

火山の噴火やそれに伴う地震の影響でも土石流が発生することがあります。また、噴火によって火山灰が降り積もると、少しの雨で土石流を起こしやすくなることもわかっています。10センチ積もった火山灰はかなりの規模の土石流をおこしますので、火山灰が積もった場合山間部では注意が必要です。

特に、富士山が噴火したとなると、日本中部〜関東全域に大量の火山灰が降り積もることによって、富士山以外の山でも土石流が起こりやすくなります。また、富士山に雪が多く積もっているときは、噴火の熱で溶けた山頂付近の雪によって雨が降っていなくても土石流が押し寄せてくることも考えられます。

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火砕流による被害

火砕流は、高温の火山ガスに火山灰や軽石などが巻き込まれてできた流動体で、非常に危険な現象です。遠くから見ると煙のように見える火砕流は、山肌を流れるように降りていきますが、そのスピードは非常に早く時速100km〜200kmと、車でも逃げ切れないほどのスピードで押し寄せてきます。

火山の噴火で大きな人的被害を出している場合にはこの火砕流によるものが多く、西インド諸島プレー火山の噴火ではわずか3分間で街一つを飲み込み、2万8000人が犠牲になりました。日本の雲仙普賢岳の噴火でも、亡くなった43人は大規模火砕流によるものです。

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山体崩壊とは

山体崩壊とは、火山の噴火や地震などの衝撃で山頂部や山肌が大きく崩れる現象です。大量の土砂が流れ出すため、被害も大きく、富士山が山体崩壊を起こした場合には40万人が被災するという試算もあります。

日本ではかつて磐梯山などが大規模な山体崩壊を起こして500人近い人が犠牲になっている他、アメリカのセントへレンズ山なども山頂部が大きく吹き飛ぶほどの山体崩壊をおこして甚大な被害をもたらしました。

富士山の噴火はかなり前から警戒されており、以前からハザードマップを配布したり避難経路を周知したりするなどの準備が行われていますが、その被害予想には山体崩壊は含まれていません。山体崩壊が起こることも想定に入れた被害予想や対策を行うことが必要ではないかとの声も高まっています。

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