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火山噴火の予知は可能か

火山の噴火をコントロールすることは不可能なので、噴火の際には早急な避難が必要です。
特に富士山の噴火となると規模も大きく被害の範囲も広くなります。一刻も早い非難が生死を分けることから、できるだけ早い段階で正確な噴火予知を行うことが望まれます。
しかし、実際に火山噴火の予知というのは可能なのでしょうか?



噴火予知の取り組み

気象庁HPより 昭和49年、文部省測地学審議会(現文部科学省科学技術・学術審議会測地学分科会)の建議により、火山噴火予知連絡会が設置されました。気象庁に事務局を置き、学識経験者や地震・地学などの専門家を委員とするこの連絡会は、関係機関の研究成果や情報を共有することにより、噴火を含む火山現象を総合的に判断することを目的としています。

現在は、この火山噴火予知連絡会を中心として、全国の火山の活動状況や噴火の兆候などが検討され、噴火の予知を行っています。それと並行して、札幌・仙台・東京・福岡にある火山監視・情報センターでは24時間体制で火山の状態を監視して、火山が噴火したらすぐに各自治体や関係機関に警報や予報などの情報が届けられるようになっています。監視はカメラの映像や地震計はもちろん、傾斜計や空振計などのデータもリアルタイムで監視センターに届けられ、定期的に地熱観測なども行われています。



地震予知の方法

実際には、火山噴火の前には明確な予兆があるので、地震に比べると正確に予知できるといわれています。火山噴火の兆候とされるのは、まず火山性地震の発生です。これは噴火の数か月前から観測されることが多く、噴火の直前まで震源の浅い地震が何度も起こります。その頻度は噴火が近づくにつれて高くなり、それに伴って低周波の火山性微動も観測されます。火山性微動とは、火山性地震のように始まりと終わりがはっきりしているものではなく、長時間にわたって小さく複雑な振動が続くものです。

それ以外にも過去の火山噴火で観測されたものとしては、地下水の急激な温度上昇や、地磁気の変化、河口付近の地形の隆起などがあげられます。すべての火山でこれらの兆候が起こるわけではありませんが、こうした現象が起こるということは火山活動が活発化しているということですから、監視の強化をする必要があると考えられます。

こうした兆候やその頻度などによって、噴火の時期についてはある程度予知が可能ですが、噴火の規模を予知することは難しいといわれています。予想よりも大きな規模の噴火になって甚大な被害を及ぼすことも考えられるため、噴火を過少に予想しないことが大切です。


火山予知の例

火山の多い日本では、火山噴火予知連絡会を中心として噴火予知のための取り組みが日々行われていますが、その予知が成功した例として北海道の有珠山の噴火があげられます。

有珠山で噴火が予知されたのは2000年3月27日。有珠山が30年程度の短い周期で噴火していることもあって、噴火の兆候が分析しやすかったことも幸いし、火山性地震の分析結果などから緊急火山情報が発表されました。緊急火山情報は、これまでの例では人命にかかわるような噴火が起こったのちに発表されていましたが、噴火前に発表されたのはこの有珠山の噴火が初めての例です。北大の観測所は144時間以内に噴火すると予知を行い、実際の噴火が起こったのはそれが発表された143時間後のことでした。

内閣府HPより地元の人にとっては、数十年に一度起こる有珠山の噴火は、普段から想定内のことであり、避難などに関する教育が徹底されていたことや、迅速な避難指示などにより、危険地域に暮らす1万数千人は無事避難して人的被害が出ることはありませんでした。

また、1998年には岩手山で火山性地震や地殻変動が確認されたため、噴火が予想されましたが、実際には噴火することなく丁重な噴気活動を行ったまま現在に至ります。

富士山でも2000年に火山性震動が見られたため、噴火かと話題になりましたが、結局噴火することはありませんでした。また、最近も表面温度の上昇や湧水の増加などが富士山噴火の兆候ではないかと話題になっていますが、火山噴火予知連絡会では現在のところ、噴火につながるような予兆は認められていないとされています。ただし、火山の噴火予知はまだ確実なものではありませんし、富士山の噴火は詳細なデータが取れるようになってから起こっていないため、有珠山の噴火などに比べると予知が難しいと思われます。前回の噴火から300年以上噴火していないことからも、現在の状況が予断を許さないものであることは間違いありません。