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桜島の火山噴火

桜島は鹿児島湾にある火山島で、長期にわたって活発な噴火活動を続けていることで世界的にも知られています。以前は独立した島だったのですが、1914年の大正大噴火で流出した大量の溶岩によって海峡が閉塞、大隅半島と陸続きになりました。大正大噴火ではいくつもの村が埋没し、死者58人、負傷者112人という大きな被害を生じており、火山灰は仙台まで飛散したとの記録が残っています。

現在でも年間に1000回前後の噴火を続ける桜島は、鹿児島の街に連日火山灰を降らせる困った存在である反面、噴煙を上げ続ける桜島は鹿児島にとって重要な観光資源でもあります。霧島錦江湾国立公園に指定されており、独特の自然の景観は見るものを圧倒する、まさに自然の驚異です。火山灰による土壌で育てる桜島大根や桜島小みかんが有名ですが、土壌の関係で育成できる農作物は非常に限定されており、一般的には農作に適した土地だとはいえません。



桜島の噴火

桜島の埋没鳥居 ウィキペディアより な噴火として知られており、大正の大噴火ではそれまで島であった桜島が、鹿児島本土と陸続きになるほどの溶岩が流出しました。また、噴石と火山灰で約2mも埋もれた黒髪集落の鳥居は、その噴火の凄まじさを伝えるものとして、現在でも保存されています。

桜島は、大正の大噴火の後しばらくは穏やかな状態が続きましたが、1935年から再び断続的に噴火を繰り返すようになり、1946年3月には火口から溶岩が流出。その後は断続的に噴火が続き、1ヵ月後には溶岩流は海にまで達しました。11月には一連の噴火は終息したとされますが、完全に噴火が収まったわけではなく、それからも散発的な噴火は続き、1955年に南岳山頂付近で起きた爆発噴火を皮切りに噴火活動が再開します。それから1990年代に爆発回数が減少するまで、1985年に474回爆発を起こしたのをピークとして頻繁に噴火を起こし、鹿児島市などに多くの火山灰被害をもたらしました。

2006年からは再び噴火が増加に転じ、2009年は548回、2010年は896回、2011年は996回と、噴火の回数はますます増加しており、2012年は前年を上回るペースで噴火しているので、1000回を超えることは確実だと考えられています。現時点ではひとつひとつの噴火はそれほど大きなものではなく、居住区への被害も降灰のみに収まっていますが、活発化が進んでいることから大噴火につながることを懸念する声もあり警戒が必要です。



桜島火山と火山灰

桜島火山は、年に数百回の噴火を何十年もの間行っている、日本で最も活動が活発な火山です。居住区への溶岩流や火砕流などの被害はここ数十年ありませんが、火山灰は毎日のように鹿児島の街に降り注ぎ、鹿児島の人たちにとっては火山灰との共存をせざるを得ない状況が続いています。天気予報に加えてテレビでは毎日降灰予報が流れ、火山灰が降る日は洗濯物は部屋干しに。雨が降ると火山灰を含んだ泥のような雨になるので、衣類に雨が付かないように注意が必要になります。細かい火山灰の粒子は、衣類の繊維の奥に入り込んで洗濯しても取れなくなるのです。多い日には砂嵐のような火山灰が降り、歩くと足元の火山灰が舞い上がります。車もすぐに火山灰で汚れてしまいますし、エアフィルターの交換は頻繁に行わなければなりません。降灰の多い日は、道を掃除する除灰車が出動し、人々は生ごみを生ごみの日に収集場所に出すように、火山灰を火山灰の日に収集所に出します。他県の人からみれば、かなり大変な毎日ですが、こうした生活が鹿児島では何十年も行われているのです。

鹿児島市は桜島からほど近く、これだけの大都市が活発に活動している火山から10kmも離れていないところにあるというのは、世界でも珍しい環境だといわれています。もちろん大噴火によるリスクや、降灰の不便さもありますが、それも含めて鹿児島では桜島の恩恵を受けながら生活してきたという背景もあるのです。現在も噴煙を上げ続ける桜島火山は、鹿児島でも最もメジャーな観光スポットですし、鹿児島からフェリーで15分という便利さも、観光客にとっては便利なところです。火山があるということは、温泉もありますし、溶岩流や火山灰などが生み出した自然の景観は、他の場所では見ることができない圧巻の光景です。鹿児島と桜島は切っても切れない関係だといえるのかもしれません。


現在の桜島

桜島の火山は現在でも毎日のように噴火を繰り返しており、鹿児島市によると、警戒レベル3「昭和火口及び南岳山頂火口から概ね2km」が警戒範囲として指定されています。2012年3月までは「昭和火口及び南岳山頂火口から2kmを超えた居住地近くの範囲」だったので、その範囲が縮小されたと考えてよいでしょう。この警戒範囲内では噴石や火砕流に巻き込まれる危険性があり、それ以外の場所でも風下には噴石などが飛んでくることがあるので注意が必要になります。

桜島大根 鹿児島市HPより 桜島には現在約7000人の人が暮らしており、観光客も多く訪れています。溶岩流の跡にできた自然公園や、桜島火山を間近に望む展望台などが人気で、瓶に詰めた火山灰などが土産物として販売されています。世界一大きな桜島大根や、世界一小さい桜島小みかんなどが生産されており、火山灰を使った溶岩焼などの陶芸や、溶岩を使って作られた焼き肉用の溶岩プレートも人気を集めています。